労災保険と雇用保険を合わせて労働保険と呼びます。労働基準法をベースに、労働者をサポートし、生活を保障する目的で作られました。
労災保険は、雇用形態を問わず、従業員を一人でも雇ったら加入義務が発生します。雇用保険は保険適用に該当する従業員がいれば加入しなければなりません。また、労災保険と雇用保険では、保険料の負担が違ってきます。二つの保険について、加入要件や保険の範囲、保険料の負担について説明します。
1労災保険
1加入義務
- 従業員を一人でも雇ったら加入義務が発生する
- 雇用形態は問わない(アルバイト、パートであっても加入が必要)
- 法人、個人関係なし
- 従業員を雇っているのに、加入していない場合は、さかのぼって労災保険料及び追徴金の徴収とケガをしたアルバイトに支払われた給付金の全額もしくは一部を負担することになる
2保険の適応
- 業務に従事している勤務時間内はもちろん、仕事場に向かう通勤途中や帰宅途中にの事故や病気、死亡などの災害を含む。
- 負傷した場合などは治療費の補償あり
- 仕事中のケガや病気により働けなくなった場合、その期間の休業補償や障害が残った場合の補償あり
- 業務中に死亡した場合は死亡遺族給付金あり
例えば
飲食店の負傷と言えば火傷やケガが多いのかもしれません。仮に、宅配に行った先で
階段から落ちて骨折した場合も対象になります。
3保険金の負担
- 事業主の全額負担
※労災の保険料は年額の支払い見込み額に業種ごとの保険料を乗じます
※飲食業の保険率は1000分の3.5
2雇用保険
1加入義務
- 以下の条件を同時に満たしている場合
1週間の所定労働時間が20時間以上
31日以上継続して雇用される見込みがある
- 注意点:1ヶ月以上の雇用契約や期間を定めない雇用契約をする必要がある。
連続して働くという意味ではない
例えば
1日6時間を3日間でトータル18時間の場合は雇用保険の加入義務はない。
20時間を超えるかどうかが大きな要素となる。
2保険の適応
- 失業した際に一定期間給付金を受け取ることが出来る(失業手当)
- 教育訓練給付金(従業員の教育・訓練の為に給付)
- 育児給付金
- 介護給付金
3保険金の負担
- 事業主と従業員で折半して負担する
- 勤手当や深夜手当、調整金など支払われた金額の総額で保険料を算定
※見込みや標準報酬額ではない
※税金や各種の保険料などを控除する前の金額
いかがですか?労働保険は事業主の負担になることばかりではありません。保険に加入することで、給付金を受けることができると共に、従業員への補償をすることができます。労働環境の充実は雇用の促進に繋がります。具体的な申請手続きについては、飲食店開業に必要な労働保険の申請手続きをご覧ください。