今回のテーマはズバリ「アルコールメニューの原価と売価設定!」ってことで、代表的なアルコールメニューの原価から売値を考え利益はどれくらい残るものなのかを考察していきます。
ドリンクの原価
早速ドリンクの原価を見ていきましょう。ドリンクの種類は数え切れないほどあるので、今回は代表的なビール・チューハイ・ウィスキー・日本酒・焼酎に分けて見ていきます。
ビール
ビールの原価は、種類によって変わりますが20Lの樽が10000円ぐらいで買えるぐらいだと言われています。分解すると1ml = 0.5円ですね。ビールジョッキの容量が約400mlだとすると単純計算200円の原価がかかることになります。しかし、実際は3割ほど泡の部分もありますので、正味7割がビールだとすると 400 × 0.7 = 280ml ということになります。よって、ビールの原価は中ジョッキの生ビール1杯で、約140円ぐらいということになります。
売値については地域の相場やお店の方針によって変わる部分ではありますが、飲食店の想定原価率30%ということを考えると480円ぐらいが売値になりますね。つまり
売値480円 ー 原価140円 = 利益340円
という計算になります。
チューハイ
チューハイも今回は樽換算で考えます。樽の価格は10Lでおおよそ3500円ぐらいです。ビールと同じ容量のグラスで入れると仮定して氷が入ることも考えると実質の容量は250mlぐらいと言われています。つまり10L樽1つで理論上40杯取れます。(実際はロスが出るのでこれよりも少なくなります。)40杯で3500円ということは1杯あたり約87円となります。
売値はビール同様原価率から計算すると約300円となります。若干相場よりも安い感じがしますね。一杯300円ぐらいだと立ち飲み屋さん価格なので、着席の居酒屋であればもう少し高い金額で販売してもいいでしょう。今回は考慮せず、このまま計算すると
売値300円 ー 原価87円 = 利益213円
となります。
ウィスキー
次はウィスキーです。ウィスキーは銘柄、飲み方によって変わりますが、今回はカジュアルなウィスキーをハイボールで飲んだ場合で計算しましょう。ウィスキーは1本700mlです。それを1200円で仕入れたとしましょう。ハイボールに使用するウィスキーは1杯あたり30ml(グラスによって変わります)とすれば、原価は約51円。これにソーダ代が加算されます。ソーダは瓶の物を使えば1本50円ぐらいかかります。合わせて約100円ぐらいになりますね。原価率から計算する売値は333円。
売値333円 ー 原価100円 = 利益233円
となります。
日本酒
日本酒の大きさは一升瓶で1.8L、四合瓶で720mlとなっています。注文単位も一合(180ml)単位のお店が多いので、一升瓶だと10合、四合瓶で四合取れることになります。日本酒の価格もピンキリですが、一升瓶を1500円で仕入れたとしましょう。そうすると原価は1号あたり150円、売値は500円になります。
売値500円 ー 原価150円 = 利益350円
焼酎
焼酎も飲み方が色々あるドリンクです。ロック、水割り、ソーダ割り、烏龍茶割りなどなど。種類も全国各地にあり、プレミアがつくほどの人気の物から大衆向けの物まであります。ここでは仮に一升瓶の焼酎を1500円で仕入れて、飲み方はどの飲み方にしろ1杯90mlの使用と仮定した場合の金額を考えてみます。1杯90mlであれば20杯取れますので 1500 ÷ 20 =75円が原価となります。原価率30%から換算すると売値は250円になります。結構安いですね。
売値250円 ー 原価75円 = 利益175円
売値の付け方
ここまでは原価から売値を算出する方法でやってきましたが、全てをそうする必要はありません。上記メニューの中で、もっとも人気があるであろうビールは、多くの人に楽しんでいただけるよう原価率が少し高くなっても安く出しても良いと思います。その分そもそも原価の低い焼酎や、ウィスキーの値段を調整することにより全体なバランスを整えることができます。
利益額から考えるという視点
そして、ウィスキー、焼酎、日本酒といった商品は種類がとても多く価格もピンキリです。その全てを原価率30%で提供してしまうと、あまりに高額になってしまう商品も出てきます。そういった時は、原価率ばかりに目を向けるのではなく利益額からも考えてみましょう。お客様1人あたりが飲めるお酒の量は限られています。原価率が適正でも利益額が低いものばかりだと、最終的にお店の運営に影響を与えることになります。そういったことから原価率が高くても利益額も高い商品を導入することが健全な営業に繋がるのです。