飲食店開業前に知っておきたい数字の読み方【F/Lコストってなに?】
個人で飲食を経営されている方の多くは、料理が得意でも数字の方はちょっと苦手と言う方が少なからずいます。
雇われている間はそれでもいいのですが、自分で開業して運営していく場合は苦手だと言って目を背けるわけにはいきません。
今回はそんな数字の話の中でも、コスト管理の上で最も重要な項目について説明します。
食材原価と人件費 = FLコスト
飲食店で最も経費がかかる部分。それは食材原価と人件費です。
食材 = Food = F
人件 = Labor = L
この2つのコストを足した費用のことをFLコストと呼びます。また、売上に対してFLコストで割ったものをFL比率と呼びます。売上を分析する上で重要な指標の一つですので、この機会にぜひ覚えましょう。
FLコスト/比率はなぜ重要?何がわかるの?
先ほどFLコスト/比率は重要な指標とお伝えしましたが、なぜでしょうか?それは、その2つのコストが経費の多くを占めるからです。言い換えれば、ここをうまく抑えることができれば、それだけたくさんの利益を残すことができるということです。
一般的にFL比率は50%程度が良いと言われています。65%だとすぐに改善の対策を取らなければ致命傷へと変わってしまいます。
つまりこのFL比率が、そのお店が儲かっているの大変なのかを判断する一つの指標となるのです。
低ければ低いほどいいのか?
FL比率が低いほど、それだけ利益が多く残っていることになります。しかし単にコストダウンをすると、その影響はダイレクトにお客様に影響を与えます。低ければ低い方が良いわけはないのです。どういうことかと言うと、「食材原価を下げる」つまりFにかかる費用を下げるには、食材の見直しということになります。より安価なものにする。同品質で価格が低いものがあればそれに越したことはありませんが、そう簡単にできることではありません。じゃぁ少し品質を落としてコストを下げようとなります。その品質次第では、今いるお客様の評価を下げることに繋がりかねません。
また人件費を削るとなると、サービスが行き届かなくなったり、料理の提供が遅くなったりとこちらも直接お客様の評価に影響します。
こういったことが起こりかねないので、むやみに下げればいいというものではなく、先ほど記述した適正値を目標に調整するのが良いのです。
FL比率の適正値とは
FL比率は50%が良いと書きましたが、これはF+Lの合計が50%であれば良いのです。
つまりF(食材原価)が30%、L(人件費)が20%でも良いし、F(食材原価)が20%、L(人件費)が30%でも良いのです。この比率のバランスについては飲食店の業態によって変わりますので、一概には言えません。
R(家賃)が加わったFLRもある
このFLコストに、R = Rent = 家賃を加えたFLRコストとして最近は考えることも多くなりました。Rの比率はおおよそ10%が適正と考えられています。
ですのでFLR比率が60%であれば優秀、75%を超えてくると危険信号という見方になります。
売上の目標設定に使うFL(R)比率
FL比率は売上の分析に使うことができますが、他の活用方法として売上の目標設定に使うこともできます。例えば
F(食材原価) = 40万円
L(人件費)= 40万円
であれば
目標売上 = 160万
ということになります。つまりFLコストを50%に抑えるために必要な売上高を計算するという考え方です。
R(家賃)はFLと違って、こちらでコントロールすることができません。R比率の目安が10%であれば単純に
家賃の10倍 = 目標売上
という計算式も成立します。これは物件探しにおける家賃の適正を計る上で、一つの目安になるので、覚えておきましょう。
まとめ
FLR比率のいいところは、お店の経営状況の見える化ができる点です。今自分のお店がどういう状況にあるのかを知る方法の一つであり、どこに向かうべきかを教えくれる指標です。漠然と売上と経費を見るのではなく、こういった指標を使った視点を持っていると、より経営が安定したものになりますので、ぜひ活用してみてください。