今は多くの飲食店で取り入れられている飲み放題メニュー。あなたも実際に利用したことがあるのではないでしょうか?利用する側の時は、お得なサービスだと感じていたものも、自分が提供側になると、ちゃんと飲み放題ってビジネス的に成り立つのか不安になるものです。今回はそういった不安を解消するために、飲み放題メニューについてお伝えできればと思います。
飲み放題メニューって?
この記事を読んでいる人は、飲食店の開業を考えている人がほとんどだと思いますので、今更「飲み放題メニュー」の説明は不要だと思いますが、簡単に説明しますね。
飲み放題メニューとは、「時間制限内であればこの中のドリンクはどれでも好きなもの飲めますよ」というメニューです。「この中のドリンク」とあえて書いたのは、一般的に単品で注文するドリンクメニューと飲み放題のドリンクメニューは別で用意していることが多いためです。このラインナップにお店の特徴を出すことができるので、日本酒の種類が多かったり、ワインが飲めたり、いろんな種類のカクテルがあったりと、みなさん色んな工夫をされている訳です。
時間制限に関しては、一番多いのは120分(ラストオーダー30分前)でしょうか。この部分に関しても店舗によっては「180分でゆっくり楽しめる飲み放題」や「手軽に楽しむ飲み放題1時間プラン」など様々です。
上記はいわゆる居酒屋などで提供されている飲み放題メニューですが、ファミリーレストランなどにあるドリンクバーも飲み放題の1つの種類ですよね。
飲み放題って損しない??
みんなどれくらい飲むの?
例えば120分飲み放題メニューの場合、お客様は何杯ぐらい飲むのでしょうか?自分がお酒を飲む方ならイメージがつきやすいと思いますが、お酒が苦手な方や飲めない方はわからないと思います。もちろん人によって飲むスピードには差がありますが、おおよそ平均すると2時間で3〜4杯ぐらいでしょうか。だいたい30分に1杯ペースですね。またこれが3時間のコースだとしたら単純に1.5倍になるかと言うとそうではなく、多くの人が飲むペースが落ちると思います。それは単純に、満足な量が飲めていると共に、場が温まり会話が盛り上がっていることが考えられます。
原価ってどれくらい?
では、仮に120分飲み放題コースが1500円であったとしましょう。4人グループで1人あたり4杯ずつ飲み物を飲んだと仮定します。ドリンクの原価で特殊な銘柄のお酒を除いた場合、一番高いのはビールでしょう。ビールだと400mlのジョッキあたりだいたい160円前後でしょうか。(銘柄によって変わります。)ビールをこの4人が4杯ずつ飲んだ場合の合計は16杯です。160円×16杯で2560円になります。売上は1500円×4人で6000円ですから、原価率は42.6%になります。40%を超えていますが、4人全員がずっとビールを飲むと言うケースは珍しく、この珍しいケースでも40%代前半で収まります。一般的には、烏龍茶などのソフトドリンクやカクテルなどの原価率が低い商品も混ざることから、飲み放題メニューが成立することが考えられます。
何をラインナップすればいいの?
飲み放題が成立することは前章でお分りいただけたかと思いますが、実際にはどういったラインナップにすれば良いのでしょうか。
いわゆる居酒屋の場合であれば、ビール・ハイボール・焼酎・日本酒・カクテル・ソフトドリンクといったところでしょうか。ここにイタリアンやフレンチであれば、ワインが加わり、逆に焼酎や日本酒が外れます。女性が多く訪れる様なカフェレストランであれば、カクテルメニューが豊富で、ソフトドリンクとしてノンアルコールカクテルなどお酒が飲めない人にも配慮しているととても喜ばれるでしょう。
こだわりを魅せるのであれば、ある特定の銘柄の日本酒が飲み放題、コストパフォーマンスが高いワインが飲み放題など、一部の特定ドリンクに限りグレードが高いものを用意して他店との差別化をするお店もあります。この場合は、ドリンク原価が上がりますので、前述の様な料金体系では危険です。出す飲み物に合わせた料金設定をしましょう。
まとめ
今では、どのお店も飲み放題メニューがあるので、飲み放題メニュー単体で差をつけるのは難しくなってきています。どちらかと言えば飲み放題があるのが普通で、なければ選択肢が外されることもあるぐらいです。第3のビールを使用することで低価格帯の飲み放題をするお店もありますが、個人経営の小さなお店で価格競争をするのはあまり得策とは言えません。それであれば、良いお酒や珍しい飲み物を取り揃えて、注目を集める方が効果的でしょう。
どちらにしても、あまり飲み放題単体で勝負することは少ないので、コースメニューの料理との組み合わせで考えるのが得策と言えそうです。