飲食店開業前に知っておきたい数字の話【損益計算書】

経営&運営
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今日は飲食店開業に関わる数字のお話しです。売上や経費を見るための指標は飲食の世界で数多くありますが、全ての基本となると言っても過言ではないぐらい重要な指標の1つ。それが今日説明する「損益計算書」です。利益(Profit)と損失(Loss)を知ることができるのでP /L(ピーエル)とも呼ばれます。簡単に言うとお店がどれだけ儲かっているかを見る経営成績を示す表のことです。

P /Lはなぜ重要なのか?

P /Lが重要な理由は、実にシンプルでお店の現状を把握できるからです。黒字なのか赤字なのか、黒字ならばどれぐらい儲かっているのか、赤字ならどれだけ損失があるのか、を知ることができるのです。

これらがわかれば、お店として次に何をすべきかを行動レベルに落とし込んでいくことができます。

P /Lの項目について

P /Lの項目は一般的に

・売上高

・仕入原価

・諸経費

・人件費

・利益

に分けられます。もちろん、経費には人件費や光熱費などが含まれるので、実際に作成する場合にはもっと項目を細分化する必要がありますが、今はわかりやすく大まかに分けています。

で、どうやって見ればいいの?

では、実際に数字を入れてP /Lをどのようにして見ればよいのか、どの数字に注目すべきなのかを、具体例をあげて見てみましょう。

(例)
【売 上】   1,500,000円
【原 価】   500,000円
【粗 利】   1,000,000円
ー原価率ー  33.3333%

【人件費】   350,000円
【賃 料】   150,000円
【その他経費】 200,000円
【販管費合計】 700,000円
ーFLコストー 850000円
ーFL比率ー 56.6666%

【営業利益】  300,000円

売上から原価を引いたものは「粗利益」(粗利)と呼ばれます。また、ここでは経費を人件費や賃料としており、光熱費などがその他経費に入れています。これらを総じて販売管理費(略して販管費)と言います。この「粗利益」から「販管費」を引いたものを「営業利益」と言います。

売上と原価の関係

そして、最初に注目すべきは売上に対して原価が占める割合です。この割合は「原価率」と呼ばれ一般的に飲食店の原価率は平均すると30%ぐらいが理想と言われています。このカフェの場合売上が150万円に対し、原価は50万円なので

500,000 ÷ 1,500,000  = 33,333333・・・・

となるので、ほぼ平均通りということがわかります。もちろんこの30%が理想かどうかは業態や、お店のビジネスモデルによって変わりますので、あくまでも参考として考えてください。ここで大事なのは、平均と近いかどうかではなく、自分が立てた計画や予測していた数値と比べてどうかです。考えたメニューに思っていた以上にロスとなる部分が多く原価が上がっているかもしれません。逆に想定より低かった場合には、もう一段階上質な食材を使用することができ、お客様の満足度をより向上させることが出来るかもしれません。このように、売上と原価の関係を見るだけでも、お店の状況が色々見えてきます。

FLコスト

次に注目すべき数字は、スタッフの給料である人件費です。原価率と同様に、人件費を売上で割ったものを人件費率と呼びます。飲食業界ではこの原価と人件費を足した費用のことをFLコストと呼びます。詳細は別記事を参考にしてください。

このFLコストが売上に対して50%であれば優秀な利益が出ている店舗であり、60%あたりの店舗は平均といったところでしょうか。それ以上になると経営を大きく圧迫しているので、改善する必要ありと判断されます。

このカフェの場合であれば原価50万円と人件費35万円の合計85万円なので

850,000 ÷ 1,500,000  = 56.66666・・・・

となるので、優秀な店舗と言えます。実際に30万円の利益が残っています。

この他にも、FLコストに賃料を足したFLRコストと呼ばれるものもありますが、賃料はコントロールできる部分ではありませんので、まずは比較的コントロールしやすい原価と人件費を重点的に意識するとよいでしょう。

まとめ

P /Lは経営の基本と言っても過言ではありません。とはいえ、これを作ることが目的になってはいけません。この出てきた数字から何を読み取るのかが経営者としての腕の見せ所なのです。

お店を好調に継続させていくには2つの方法しかありません。売上をより伸ばす方法と経費を極力抑える方法です。この2つをうまくコントロールし、せっかくの開業したものの途中退場という悲しい結果にならないよう、今回学んだことを活かしていただければと思います。

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