オープンキッチン・クローズドキッチンの特徴

厨房
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飲食店を開業する時、客席や厨房のレイアウトには頭を悩ませてしまいますね。客席と厨房は完全に仕切る方がいいのか、カウンターを設置した方がいいのか、思い切ってオープンキッチンにした方がいいのか、など様々なことを思い描くと思います。今回はオープンキッチン、クローズドキッチンの特徴についてお話します。

オープンキッチンとクローズドキッチンの特徴

オープンキッチン

  • 厨房からの視認性

オープンキッチンは客席と同じ場所に厨房設備を配置します。回転寿司にように、中央部に配置する場合と、居酒屋のカウンター席のようにカウンターと対面に設置する場合があります。厨房、客席双方からの視認性は十分確保されています。

  • 演出効果

視認性に優れているという事は調理の過程をお客様に見て頂くという演出ができます。調理をする時にでる音や匂い、シェフが包丁やフライパンを使う姿は、それだけで期待感を膨らませます。

  • サービス、集客

厨房とお客様が近いことで、お客様の食事のスピードを把握することができます。つまり、お客様の食べる速度に合わせて調理をしたり、飲み物を勧めたりできるという事です。加えて、距離が近い事で、お客様とのコミュニケーションも取りやすくなります。お客様と親しくなることは、ファンやリピーターの獲得につながり、集客においても効果を発揮します。

  • スタッフの必要人数

厨房内からできた料理を直接お客様に提供すれば、オペレーションスタッフの人数の調整も可能になります。例えば、人員をそのままにし、サービスの向上を図るのもひとつです。人員を減らした分をお店の運営に充てるというのもひとつの方法です。

  • 照明

客席は少し落とした照明で落ち着きやリラックス感を演出し、厨房内は作業環境を確保するために明るい照明を設置するのが一般的です。しかし、オープンキッチンの場合は、客席と厨房が同じ場所に存在します。どちらに明るさを合わせるのかは業態やお店のコンセプトに合わせて考える必要があります。

  • 調理による汚染の可能性

先に述べたように調理の際に出る音や匂いには演出効果があります。しかし注意点もあります。調理の際にでる、湯気や油は客席の汚染に繋がります。床が滑りやすくなったり、お客様へ油の飛散、匂いの付着も心配されます。通常よりもパワーのある換気扇を設置し、コンロ部分にはガードを付ける、日々の清掃は念入りに行うなどの対策が必要です。

  • 客席からの視認性

視認性が良いという事は、お客様から厨房内が見えるという事です。つまり、調理の過程で行う味見や、盛り付けなど一連の作業が丸見えになるわけです。使用した鍋やフライパン、下げた食器が流しにある状態も場合によっては見えてしまいます。見られて困る事は何もありませんが、お客様に不快感を与えない配慮は必要になります。設計段階で、座席の高さを工夫したり、厨房内に死角を作るなど、内装業者と相談をするのもひとつの方法です。

  • 整理整頓

スペースが十分に取れない場合は、厨房内に食器や調理器具を配置することになります。もちろん、お客様から見えます。調理器具や食器は、整理整頓をしておかないと煩雑な印象を与えます。食器の量や色、形を揃える、または見せる収納を工夫する事も必要です。

  • スタッフ教育

新人スタッフへの教育も、その態度もお客様から見えています。お客様にどれだけ丁寧に接していても、スタッフへの態度が豹変してはお客様に不快感を与えてしまうでしょう。教育は大切なことですが、場所や言葉を選ぶ必要があります。

クローズドキッチン

  • 厨房からの視認性

厨房と客席は壁や仕切りで完全に分かれています。そのため、厨房内は客席から見えません。厨房からも客席の様子は見えません。大きめの飲食店はクローズドキッチンが一般的です。

  • 演出効果

お客様の前で調理をしないため、調理の過程での演出効果は見込めません。仮に演出効果をだすのであれば、仕上げを客席で行う方法もあります。クローズドキッチンの場合は広さの確保が十分されているため、食材を豊富に準備することが可能です。色彩豊かな野菜を美しく盛り付けることも、お客様にとっては最高の演出になりますね。

  • サービス、集客

厨房からお客様の様子が見えないため、ホールスタッフとの連携が必要になります。お客様の食事の様子を厨房内に知らせたり、飲み物の声かけをタイミングよく行うのはホールスタッフの大切な役割です。お客様の満足感を高める事が集客につながる重要な要素です。

  • スタッフの必要人数

お店の規模にもよりますが、クローズドキッチンの場合は厨房とホールに最低でも一人ずつは人員が必要です。一人では、作業効率が悪く、サービスの低下に繋がる危険性大です。

  • 照明

厨房、客席それぞれに必要な明るさを確保することができます。厨房内の明るさは、安全面でも作業効率の面でも重要です。

  • オープンキッチンのデメリット部分はカバーできる

調理による汚染の拡大は防止できます。流しの汚れもの、食器や調理器具の収納などはお客様の目に触れることはありません。また、厨房内の会話やスタッフへの指導内容がお客様に聞こえる事もありません。しかし、見えないからよいというものではありません。厨房内の汚染を放置すると、いずれは客席に拡大します。煩雑な仕事内容やスタッフ教育は、スタッフの接客態度に影響します。見える、見えないにかかわらず、常にお客様から見られているという意識を持つことは大切です。

まとめ

今回はオープンキッチンとクローズドキッチンを2つに分けて、その特徴を説明しました。お店の規模やコンセプトにもよりますが、2つの良さを合わせた形で厨房設計をしてみても良いかもしれません。半調理をクローズドキッチンで行い、仕上げをオープンキッチンで行うのも良いでしょう。小さい規模のお店で対面カウンターの場合は、上部に収納棚を設けて見える範囲を狭めても良いでしょう。お店のコンセプトを合わせてイメージを膨らませてください。

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