飲食店で食事をしていて「暑い」とか「寒い」と感じた事はありませんか?温度は快適性に大きく影響します。では、適温なら良いのでしょうか?そういうわけにもいきません。適温でも、エアコンの風が体に当たるとどうでしょう?湿度が高いとどうでしょう?いずれにしても不快ですよね。快適性は温度・湿度・気流の3つが整うことが大切なのです。それを整えるのが空調です。
今回は空調についてお話します。お客様の快適性を保つために役立てて下さい。
空調に影響を与える要因
一般家庭では快適な温度設定は夏場なら28℃、冬場なら20℃前後と言われていますが、店舗の場合夏場は26℃、冬場は23℃と言われていいます。湿度40~60%が快適というのが一般的です。しかし、飲食店の場合は一概には言えません。例えば中華料理のように、火をたくさん使う業態は厨房内の熱が客席に影響します。カフェなどの比較的長い時間を過ごすお店では、26℃では寒いと感じ始めるでしょう。また、ラーメン店のように終日お湯を沸かし続ける業態は湿度が高くなりやすいです。オープンキッチンならなおさら、厨房内の環境が直接客席環境に影響します。ドアの開閉頻度や、空調機(エアコン)の設置場所によっても温度や湿度、気流は変わります。自分のお店の空調に影響する要因について把握しておくことは大切です。
エアコンの機種選び
空調機は建物に空調設備としてある場合と、エアコンを備えつける場合があります。ここではエアコンについてまとめます。
エアコンは設置場所により、天井埋め込み・壁に設置・床置きの3タイプに分かれます。
天井埋め込みタイプは、風が2ないし4方向からでるため、客席全体に空気が行き渡り、温度のムラが出にくいのが特徴です。エアコンの風が体に当たることも少なく、不快感も減少できます。埋め込みのため、部屋全体もスッキリして空間が広く感じます。
壁に設置するタイプは、天井と壁を利用して設置するします。風が一方向に吹き出すため縦長の物件に適しています。向きによってはお客様に風が当たってしまうことがあります。風向きの調整が必要です。
床置きタイプは、他の設備でも効率が悪い時に利用しますが、場所をとるため客席スペースが十分ではない飲食店には適さないタイプと言えるでしょう。
エアコン自体の能力も重要です。客席の大きさや形状によりエアコンの必要能力は変わってきます。加えて、窓の大きさやドアの広さ、日当たり、厨房位置など空調に影響を与える要因も加味しながら機種選びをする事が重要です。
エアコンを選ぶときのチェックポイント
エアコンの機種を選定する際、以下のポイントとも合わせて考えましょう。少し大き目のエアコンが良いのか、何台か組みあわせるほうが良いのか、客席のみではなく厨房内にも設置するほうが良いのかを合わせて考えましょう。
・客席の広さ:客席全体は何㎡くらいのスペースにしているのか
・客席フロアの形:縦長か変形しているのか
・天井の高さ:高い天井かどうか
・窓の大きさや面積:窓が多い、もしくは窓が大きく日差しが店内に入らないか
・厨房との関係:オープンかクローズドか
・厨房タイプ:コンロの位置は客席に近いか遠いか
・厨房内換気:厨房内の換気は良好か、厨房内エアコンの設置はあるか
空調管理の工夫
当然のことですが「快適」は個人差が大きいため、空調設備やエアコンだけで対応できない場合も出てきます。チェックポイントで問題があったところはその対応をしましょう。また個別対応ができるよう準備も必要です。
・客席の広さに対応したエアコンを選びましょう。どのくらいの能力が良いか、台数を増やす方が良いか分からない場合は、エアコン業者に相談しましょう
・客席フロアの形が変形の場合は、エアコンの能力も重要ですが、場合によっては数台設置が必要な場合もあります。変形フロアで数台設置すると、温度にムラが出る場合があります。客席のレイアウトを工夫するか、寒さ対策にはブランケットなどの準備をしましょう
・天井の高さが高い場合は、シーリングファンなどの設置も考えましょう。空気を循環させることで、温度調整の効率が良い場合もあります
・窓が大きく、日差しが入る場合はフイルムを張って日差しを和らげる工夫をしても良いでしょう。
・厨房の位置は変えられないので、換気扇を大型にする、厨房用のエアコンを設置するなど、厨房内の空調管理を行いましょう
まとめ
小規模な飲食店の場合はエアコンを設置して温度管理をする場合がほとんどでしょう。業態にもよりますが、可能であれば温度管理のみではなく、湿度管理の出来るものを選ぶとより快適性は増すでしょう。もし、居抜き物件ですでに設置されている場合は、エアコンの設置場所や効き具合、風向きをチェックしましょう。いかにお客様に快適に過ごして頂くかが重要ですね。