食材ロスを減らす為の様々なアイディア

メニュー開発
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お店を営業し、お客様に料理を提供している以上、考えなければいけない問題として「食材ロス」があります。食材ロスはお店とって原価率を引き上げ、利益を引き下げます。また、お店の問題だけではなく地球の環境問題としても食材ロスは大きな社会問題としても度々取り上げられます。

今回の記事では、食材ロスを減らすにはどういった方法があるのか、様々な角度から考えてみたいと思います。

食材ロスが出る〇〇過ぎ

この記事の目標は「食材ロスを減らすこと」ですが、それにはまずなぜ食材ロスが出るのかを考える必要があります。食材を仕入れてからお客様に届くまで、どこに食材ロスが生まれるポイントがあるのでしょうか。原因を知ることにより、解決方法を探しましょう。

仕入れ過ぎ

まず1つ目は「仕入れ過ぎ」による食材ロスの発生です。原因は単純で、自分のお店のメニューに必要な量がわかっていないことが考えられます。市場などで特価だからと言って大量に購入することで起きます。

仕込み過ぎ

仕入れ過ぎが引き金となって起きる「仕込み過ぎ」です。安くて大量に仕入れることができたからといって、食材が痛む前に消費できないほど仕込んでも意味はありません。むしろ廃棄するロスを考えると少し割高でも適正な量を仕入れる方が結果として良い場合があります。

仕入れ過ぎ/仕込み過ぎどちらもその時点では、食材ロスではありません。結果として食材が残り廃棄することになってしまった時に食材ロスとなります。

作り過ぎ

最後は「作り過ぎ」です。ここでの「作る」はお客様へ提供する料理のことを指します。つまり、お客様へ提供する量が多いということです。それが食べ切れず、食べ残しとなって食材ロスとなります。作り過ぎに関しては、お客様の動向を注視することで、防ぐことができます。食べ残しで返ってくるメニューが特定のメニューに偏っていないかを管理する必要があります。もしそういったメニューが見つかれば、ポーション(量)や味の調整を行った方が良いでしょう。

自分が作った料理の行方を最後まで見届けることが非常に大事です。これはオープンキッチンなら比較的容易ですが、クローズドキッチンの場合は客席が見えないので、ホールスタッフが確認する必要があります。

食材ロスを減らすアイデア

仕入れ〜提供までの間のポイントそれぞれにロスが生じる原因がありました。それでは、それらを解決するにはどういったことができるのでしょうか。解消できる原因と合わせて考えていきましょう。

数量限定にする

食材ロスを防ぐ方法として、メニューを「数量限定」にする方法があります。全てのメニューに限定数を設けることは現実的ではありませんが、看板メニューなど一部のメニューを数量限定にすることにより仕入れ過ぎ、仕込み過ぎを防ぎます。例えば

「松坂牛100%の手ごねハンバーグ 1日10食限定」

といった感じです。こうすることで、必要以上に仕入れること、仕込み過ぎることを防ぎます。さらに数量を限定することにより、そのメニューに対する付加価値を与えることもできます。

しかし、限定数が少な過ぎるとチャンスロスが発生する危険性もあります。食材ロスとチャンスロスの関係は非常に難しいのですが、食材ロスの視点から考えると確実に消化できる量を限定数として設定するのがベターだと考えます。

おまかせ〇〇メニューを作る

よく「シェフの気まぐれサラダ」「本日のスープ」「前菜おまかせ盛り合わせ」などのメニューを見かけることがあると思います。このメニューを一部盛り込むことによって、お店側で内容をある程度選ぶことができます。旬の食材を安く大量に仕入れることが多くできたので、たくさんの人に食べてもらいたい時や、この食材はこんな食べ方ができるといった新しい提案をすることができます。食材ロスの視点から見ると早く消費したいものを提供すると誤解されそうですが、決してそうではありません。おまかせだからこそ、自信のあるものを提供しなければお店の信用を失ってしまいますからね。

ポーションを少なくする

次は料理のポーションを少なくするという方法です。これは作り過ぎへの対策です。ポーションとは1つあたりの量のことを指します。例えば、1人前100gでパスタを提供している店があるとします。しかし、女性客がメインで食べ残しが多いという事実が判明しました。そこで1人前の量を100gから80gへ変更することで食べ残しの量を調整した。といった流れです。

「作り過ぎ」の項目でも書きましたが、ここで非常に大事なのはお客様を観察する力です。どうして食べ残しが発生しているのか、その原因が量であればポーションを少なくすることは非常に効果的です。しかし、味そのものに問題がある場合やお店の居心地も原因の場合も考えられますので、正しく判断する必要があります。

使う食材を共有する

最初にメニューの構成を考えるとき、また新しくメニューを開発するときの視点として「食材の共有」は外せません。新たなメニューを開発するからといってそのメニューのためだけに新しい食材を追加することは効率的ではありません。なぜなら、そのメニューが出なかった時にその食材はそのまま行き場を失ってしまうからです。1つの食材に対して、いくつかのメニューに生まれ変わる道があるとそれだけで、仕込み過ぎなどの食材ロスは軽減されます。食材として「肉」を考えた場合、ステーキとしての活用や、ミンチにしてのハンバーグにする、お肉を使ったパスタソースを作るなど、活用方法が多い食材ほど無駄が無くなります。

こういった視点を持ち、メニュー開発に取り組むことで食材をロスすることが減ります。食材ロスが減るということは、必然的に原価率を下げ、利益率をあげることに繋がります。

コース料理、予約のみ営業

限りなく食材ロスを少なくする方法として、来店するお客様を限定し、コース料理でおもてなしをするという方法があります。高級な和食やフレンチ、イタリアンなどでよく見られる手法です。例えば「【1日10組限定】20000円コースのみ」を用意し、アラカルト(単品)メニューは用意しません。こうすることで、1日に来店されるお客様とその料理内容をこちらが完全に把握でき、必要な量だけの食材仕入れ/仕込みで済ますことができ、食材のロスを限りなく少なくすることができます。

しかし、この方法は来店するお客様と料理内容を固定するため、売上の天井が決まってしまいます。飲み物はお客様次第ですが、変動の大きさとしてはそこまで大きくありません。ですので、限定数と料金設定をうまく設定しなければ、そもそもお店の運営が成り立たない可能性が出てきます。

また、このお店の営業方法が成立するにはシェフが有名または料理の実力が伴っている必要があります。お客様の来店する人数と提供するメニューをこちらが制限するわけですから、それでも食べたいと思わせるほどの内容でない限りお店として成立しないのです。料理に自信があり、満足させる自信がある人にとっては非常に効率的な営業方法であると言えます。

最後に

食材ロスを減らすアイデアはいかがだったでしょうか?自分のお店で実践できる取組はどんどん取り入れていきましょう。食材ロスを防ぐ効率的な取組は、お店の収益化をあげることにもちろん効果的ですが、お客様の満足度、地球環境の問題といった複合的な視点から考えることが大切です。

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