お店の居心地を左右する要素には「料理」「人」「空間」と3つあります。今回はこの中の「空間」についてのお話しです。お店の「空間」を作ることをここでは「店舗デザイン」と呼びます。店舗デザインとは、お店の内装や外装はもちろんですが、店内で流れるBGMやテーブルや椅子などの家具、細部に至っては使用する食器やカトラリーなども含まれます。
店舗デザイン=統一感
店舗デザインには、こうすべきだという正解はありませんが、外せないルールはあります。それは「統一感」です。それもコンセプトを土台とした「統一感」でなければいけません。店舗デザインにおける統一感とは、どういった箇所で作り出すことができるのでしょうか。お客様の入店から食事をするまでの流れをみながら各箇所とその箇所が持つ役割を考えていきましょう。
外装
まずは、外装です。店舗デザインにおける外装の役割は「集客」です。お店の中で外装は一番多く人が目にする部分です。内装は入店したお客様しか見ることはありませんが、外装は、通りすがりの来店目的ではない人の目にも入ります。
外装はお客様が入店するかどうかを左右する大きな分かれ目となるので、外装の見た目でコンセプトを正しく表現できていれば多くのお客様を引きつけることができます。よほど特別な理由で隠れ家風を演出していない限りは一目で何屋さんかがわかる工夫をすべきでしょう。例えばメニューを外で掲示する、食品サンプルを置く、イタリアンのお店で店頭に国旗を掲げることなどはその代表例ですね。外装についての詳細は以下の記事を参考にしてください。
内装
次は内装です。一言に内装と言っても、客席や厨房レイアウト、トイレ、照明や装飾品など様々です。内装の役割は「テーマの演出」です。テーマはコンセプトをより具体的に表したものだと考えてください。もし、コンセプトが「本場のイタリア料理をより多くの人に届けたい」であればテーマを「現地の路地裏にあるバル」となり、それに応じたお店の作りになるという訳です。そこからイメージを膨らませて、「オープンキッチンにしよう」「現地のバルは照明は暗め」「テーブルは一般よりも小さめで、隣との距離も少し狭く」など作り込んでいきます。イメージがわかないときは、似た店舗を訪れたり、イメージ写真を探すのも良いでしょう。
客席
次は客席です。捉え方によっては、テーブルと椅子などの客席も内装の一部と考えることもできますが、ここでは役割から考えてあえて分けて考えています。客席の役割とは「居心地の演出」です。お客様が入店してから一番長く過ごす場所なので、お店の居心地に大きく関与します。テーブルの材質や大きさ、イスの高さや座り心地などお客様にどのように過ごしてもらいたいかを直接お客様に体感してもらうことになる部分です。テーブルの広さと居心地の関係などは以下の記事にまとめておりますので、是非参考にしてみてください。
テーブルウェア
次はテーブルウェアです。テーブルウェアの役割は「料理の演出」です。料理の評価は味だけで決まる訳ではありません。料理は目で楽しむことができ、それは料理の盛り付けだけではなく料理を演出するテーブルウェアにも大きな役割があります。料理を盛り付けるお皿、食べるためのナイフやフォークまで、このような細かいところまで店舗デザインの一つして統一感を考える必要があります。
BGM
最後はBGMです。BGMの役割は「雰囲気の演出」です。音楽は目には見えないものなので、店舗を構成する要素として忘れられがちなのですが、とても大きなインパクトを持っています。ポップスやロックといった明るい音楽は人を元気付け楽しさを演出しますし、ジャズやボサノヴァはリラックスした高級感のある落ち着いたムードを演出します。あなたのお店の雰囲気を作り出すことに大きく貢献しています。
店舗デザインのまとめ
店舗デザインについていかがでしたでしょうか?店舗デザインという大きい枠組みを、それぞれの箇所に分けて、役割を考えることによって、お店の統一感が作られていることがわかったと思います。冒頭にも書きましたが、必要なのはお店のコンセプトに基づいた統一感です。あとは、その統一感をどこまでこだわることができるかでお客様のお店に対する印象が変わります。
「神は細部に宿る」と言われるように、店舗デザインは壁の色や内装だけを考えるのではなく、使用する割り箸一本までこだわってこそ店舗デザインと言えます。そこまでこだわった店舗デザインはお客様にきっと伝わり、あなたのお店を繁盛店へと導いてくれることでしょう。